トランプ(矛盾だらけの二重国格USA)

 一人の人間の出現で世界はこんなにも変わるのか。過去から一人の偉人、変人、狂人の出現が世界を大きく動かしてきた。また、同一人物が、偉人であり、変人であり、狂人でもありうる。

 トランプアメリカ合衆国大統領はどような、偉人、変人、狂人ぶりを見せるのか。

 

 現時点では少なくとも全世界の人々が通常特別に意識せず、当たり前のことと考えたり見えていた事象や価値観について、改めて考え直するきっかけを与えてくれ点では、良い悪いは一旦横に置いておいて。偉人だ。

 少々飛躍しすぎる発想も混じるが、彼の出現により私が感じた本質的な疑問点を、脈略無く述べてみる。

 

①自由と民主主義の先導者アメリカ合衆国

 アメリカは、自由と民主主義という価値観を自己実現し、かってのキリスト教の宣教のように世界にその価値観を広めてきた。時には経済的、軍事的優位性を武器として。

 昨年のアメリカ合衆国大統領選挙は、長年の米国の歴史の中で現時点では最も適正と思われる民主主義的手法によってトランプを選んだはずである。

 ところが、自由の国米国は民主的な選挙で選ばれた大統領を認めない世論が過半数になっている。民主主義的手法に基づいた選挙の結果を否定するという民主主義のリーダー国家とは不思議だ。

 そして今、速射砲のように発せられる大統領令は、自由という自らが広めてきた価値観を様々に制限する。残された自由は、アメリカ合衆国が自分の利益の為にはどんな勝手なことでもできるという自由だ。

 自由と民主主義とは何か? アメリカ合衆国に根付いていたとされる自由と民主主義とは何なのか? 世界に広げようとした自由と民主主義とは何なのか? 突き詰めていくと、アメリカ合衆国は自由と民主主義の国なのか?

 

②政治は富める者の為に、選挙は富まざる者の為に

 一般的に、政治家は、選挙の段階では80%以上を貧しい人々の為に語る。有権者の大多数が「富まざる人」だからだ。当選した暁には80%以上を富める者の為に働く。公約の手前、富まざる人との約束のいくつかは努力するが、実際には富める人のための努力が大半となる。なぜなら、富める人の投資や消費、そして払われる税金が政治家を支えるからだ。

 トランプ大統領は、票を得るために富まざる人と交わした公約を全て正直に実行しようとしている。政治家では無いからだ。その結果が最終的にアメリカの「富める者」の為にならなかった場合。政治家トランプが顔を出すのだろうか。

 

③不法移民に頼る国

 あるテレビで見たアメリカ人へのインタビュー。「私達は価値の高い仕事をしている。私たちががやりたくない、ふさわしくない仕事は移民がやってくれる。だから移民は必要なんだ。」・・・・・。

 まさに、同じ思想で奴隷制度で国力を作り上げた国だ。本質的な思考ロジックは変わっていないかもしれない。そのうえで、経済上必要ということであれば不法であってもかまわないという。不法を容認、救済してきた法治国家がアメリカ合衆国だ。

 

 世界のリーダーであり民主主義の旗手を自認してきたUSA。矛盾だらけの実態と二重国格がさらけ出されたその姿。これから世界はどんな旅をするのだろう。 

 

 2017.1